豊岡薬局は「豊岡薬舗」として1921年(大正10年)に初代店主の岸本定次郎が開業いたしました。
当時はお薬のご相談以外にもハクキンカイロ(ベンジンを入れて使う金属製オイル式カイロ)やハエ取り紙などの今では見かけなくなった昔ながらの日用品を扱っており、毎日多くのお客様で賑わっていました。
その頃の薬剤師は町の化学者として、病気だけでなくホームキーピング用の薬品のご相談や健康になるための「予防養生」のご相談などを幅広くお受けしていました。
ですので当薬局では昔から来局なさる方を「患者様」ではなく「お客様」とお呼びしていました。
また、現在の様にインターネットのない時代でしたが、二代目店主の定男は野草を使った民間療法などの情報発信も広報などで行なっていました。
時代は変わり、医薬分業が進むと急速に薬局の立ち位置に変化が起こりました。
薬局は病院から発行された処方箋に基づいてお薬をお渡しする施設へと変貌していき、薬剤師も調剤をする者という認識になってきました。
薬局にいらっしゃる方もご病気を抱えた「患者様」だけになりました。
それに伴い3代目店主の恭一は調剤薬局を複数立ち上げましたが、豊岡薬局だけは現在も昔ながらのスタンスを守り続けています。
現在でも漢方相談の他、お腹の調子が悪いとか皮膚炎など病院に行くほどではない体調不良についてご相談をお受けしたり、ちょっと散歩のついでに生薬配合の栄養ドリンクを飲みに寄られた方へお湯割りにしてお出しして一服して頂くなど、ご病気の方もそうでない方も気軽にお立ち寄り頂ける存在としてご愛顧頂いています。
化学合成品のお薬は緊急的に症状を抑えるには有効ですが、病気を治すわけではありません。
体調の異常は「養生しなさい」という身体からのサインです。
ですので、なぜその病気が起こってしまったかを考え、それを癒すことが根本治療に繋がります。
そこで当薬局はそういった自然の流れに沿った漢方治療を現在も続けています。
「原因ありて結果あり。」です。
ただ漢方薬をお出しするだけでなく病気の原因となった間違った生活の仕方、食べ方を見極め改善していくサポートも行なっています。
薬剤師は物売りになってはいけないと考えています。
あらゆる分野のオンライン化が進む昨今、当薬局も健康・漢方相談をオンラインでもお受けできるようになりました。
場所に縛られなくなったことで、現在では全国からご相談をお受けしています。
そういった相談・漢方薬局として代々受け継いできたポリシーと技術を守りながら、よりお客様にとってご利用しやすい時代に合ったシステム作りを常に模索しています。